この4月、ソニー株式会社の子会社で、グループの保険会社や銀行を統括するソニーフィナンシャルホールディングス(ソニーFH) が、介護事業を統括する持ち株会社「ソニー・ライフケア」(東京都渋谷区)を設立した。今後、ソニー・ライフケアは介護を生命保険、損害保険、銀行に次ぐソニーFHの「第4の柱」に育て上げるため、有料老人ホームの開設や、M&A(企業の合併・買収)をはじめとした既存の介護事業者との連携を促進。開業10年をめどに、数十億円規模の経常利益の実現を目指す。その目標に向け、「ソニーのカルチャーを生かした手法で介護に挑戦する。ホームの新規開設でも、M&Aの模索でも」と語る出井学社長に、新規展開やM&Aの方針などについて聞いた。【聞き手・ただ正芳】
きっかけは、グループ会社のひとつであるソニー生命の現場職員からの意見でした。 ―生命保険会社の現場から、ですか。
そうです。ソニー生命には、契約者と生涯にわたってお付き合いをするライフプランナーという営業社員が四千数百名います。そのメンバーから、ご契約者が年を重ねれば重ねるほど、介護や医療のニーズが、どんどん膨れ上がっていくという声が数多く寄せられるようになってきたのです。 ソニーFHでは、そうした現場の声を踏まえつつ、新たな経営戦略の軸を数年間かけて検討し、介護事業への進出を決めました。 ―既に有料老人ホーム一棟を擁するシニア・エンタープライズが子会社として活動していますね。
とはいえ、彼らがわたしたちのグループに参画してくれたのは昨年11月のこと。ほんの半年ほど前です。それを思えば、われわれは、この業界においては「チャレンジャー」といえるでしょう。
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