厚生労働省は、4日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会の介護事業経営調査委員会(委員長=田中滋・慶大大学院教授)で、来年4月の消費税率8%への引き上げに伴う、介護報酬における対応についての基本方針案を示した。介護報酬の基本単位数へ上乗せすることをベースとし、「消費税負担が相当程度見込まれる加算」についても、上乗せを検討するとしている。【大戸豊】
基本単位上乗せ率 = 課税割合※ ×(108/105-1)
※課税割合 = 1.0 - 人件費比率 - その他の非課税品目率
また、各加算の対応については、上乗せを検討すべき加算を整理した上で、具体的な処理方法を検討する。ただし、基本単位数の割合で設定されている加算と福祉用具貸与に関する加算については、上乗せは不要としている。
上乗せ対応をする加算の具体的な処理方法については、評価内容に占める課税費用の割合が大きいと考えられるものは、基本単位数への上乗せ率と同様に、課税費用に上乗せすることを提案している。
ただし、「サービス提供体制強化加算」など、評価内容に占める課税費用の割合が小さいものや、「入浴介助加算」など元の単位数の設定が小さく、上乗せ分が1単位に満たないものなどは、基本単位数への上乗せに、このような加算についての消費税負担分も含めて上乗せすることが示された。
基本単位数への上乗せ=基本単位数 × (基本単位上乗せ率 + 加算に係る上乗せ率)
このほか、要介護度別に設定されている区分支給限度基準額については、
(1)消費税引き上げに伴って介護報酬への上乗せをすることで、従来と同じ量の介護サービスを利用していても、区分支給限度基準額を超える可能性がある。
(2)2015年度に予定されている消費税率10%への引き上げの際にも、通常の介護報酬改定への対応に加え、今回のような消費税対応のためのシステム改修が生じる可能性があるほか、医療保険での議論の動向も踏まえて検討する必要がある。
-の2点が挙げられ、介護給付費分科会で結論付けるよう付言することを求めている。
今回示された基本方針案は、来週開かれる介護給付費分科会で改めて審議し、承認を得る予定だ。今後のスケジュールは、通常の介護報酬改定と同様に、年末の予算編成を経た上で、厚労省側が具体的な加算の上乗せについて調整を進め、1月下旬には介護給付費分科会に諮問し、答申を得る流れになる。
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