社会保障と税の一体改革で掲げられた2025年の医療の姿。そこからは、診療報酬体系がどう変わるのかなど、具体像が見えてこない。医療機関は今のうちに何をすべきなのか―。厚生労働省保険局医療課の鈴木康裕課長に、医療の「未来予想図」のヒントを聞いた。(津川一馬)
―厚労省が10年時点での病床構成の状況と、25年のイメージを示した図に着目すると、左側の「10年の病床数」の隣には看護配置基準が記載されているが、「25年のイメージ」にはそれがない。これは、将来的に看護配置基準をなくすことを意味しているのか。
中央社会保険医療協議会(中医協)では、今後の看護配置基準のあり方をめぐり、幾つかの議論が出ている。
まず、診療報酬体系の評価軸として、現在のまま看護配置だけで評価する形がいいのか、それともプロセスやアウトカムも併せて評価していくべきかという問題だ。
入院患者の看護必要度に応じて、どのような看護配置が必要かという議論を行っていく必要があり、看護師だけを集めればお金が入るというシステムでは、これからは難しいというのが議論の趨勢だ。
ただ、プロセスやアウトカムの評価へ移行する方法を検討するならば、臨床現場に大混乱が起こってはいけないし、そうした評価が可能かどうか、医学的に妥当かどうかなどの検証もしなければいけない。
また、「7対1」を上回る基準として例えば「5対1」が必要だと指摘する意見や、現在のような「病院単位」ではなく、「病棟単位」で看護配置基準を設定してはどうかといった意見もある。
前提として、看護配置基準を今のまま続けると言っているわけでも、なくすと言っているわけでもない。ただ、議論は基本的にオープンだ。今はその議論の結果が確定していないため、この図ではあえて明確にしていない。
―12年度診療報酬改定では、「25対1急性期看護補助体制加算」が新設されるなど、看護補助者のより手厚い配置への評価が導入された。「5対1」などの創設の布石ではないかとの声もある。
「5対1」というよりも、看護師は看護師でなければできない業務に特化すべきではないかということだ。例えば、リネンの交換などの業務を看護補助者が行うことで、看護師の負担を軽減できる。こうしたチーム医療の中での役割分担をしていくことが狙いの一つだ。
12年度改定では、病棟薬剤師への評価を新設した。さまざまな職種が病棟で働くことで、今後は看護師の業務範囲が変わってくるかもしれない。これはその範囲が縮まるとか、大きくなるという話ではなく、各職種の役割分担を突き詰めるとどうなるかということだ。こうしたことを踏まえても、病棟全体の機能を看護配置だけで測ることは再考すべきだという議論はやはりあると思う。
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