2024年度の診療報酬改定は、全国の中小規模の急性期病院にどんな影響を及ぼすのか。CBnewsマネジメントで「データで読み解く病院経営」を連載中の渡辺優氏(メディチュア代表取締役)が、入院医療への評価のドラスチックな見直しを3回にわたって読み解く。【聞き手/兼松昭夫】
24年度の診療報酬改定を見据えた急性期医療への評価を巡る中央社会保険医療協議会の議論は、これまでに蓄積された豊富なデータに基づいて進められた。しかし、医療現場の負担に配慮して評価をどう見直すべきかという視点を欠いたことに、違和感を覚えた関係者も多いだろう。
一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)の見直しが象徴的だった。中医協の議論では、「モニタリング・処置等」のA項目のうち、「救急搬送後の入院」の評価期間を従来の5日から2日に短縮することになった。
さらに、高齢者の救急搬送を受け入れ、リハビリテーションや栄養管理、在宅復帰支援などの医療を包括的に提供する地域包括医療病棟を新設することも決まった。
看護必要度の見直しを巡る議論では、評価を厳格化したら急性期一般入院料1の病院がどれだけ脱落するかに主眼が置かれた印象だ。
「救急搬送後の入院」を何日まで評価するのが妥当かは十分に検証されなかった。これでは、「医療資源の投入量が少ない高齢者の救急搬送は、現場の負担も大きくない」と国が判断したと受け止められかねない。
高度な急性期医療の現場に医師・看護師・薬剤師・管理栄養士などさまざまな職種の専門性が必要だという認識は共有しやすいが、医療機関が高齢者に提供する医療をどう評価するべきかの判断は難しい。
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