2022年度の診療報酬改定で「急性期充実体制加算」が新設されたことで、急性期病院と薬局の双方が「敷地内薬局」に関する戦略の見直しを迫られている。特定の薬局と不動産の賃貸借取引を交わすことを禁じる規定がこの加算に盛り込まれたためで、薬局の誘致を急きょ取りやめる病院や、出店先を厳選する方針に転換する大手薬局チェーンもある。【兼松昭夫】
日赤では、全病院の2割近くに当たる17病院が急性期充実体制加算を4月に届け出た。
日本赤十字社提供
急性期充実体制加算は、急性期一般入院料1を届け出ている病院が整備する高度で専門的な医療提供の体制への評価として新設された。
入院期間に応じて3段階で評価する仕組みで、入院初日から7日以内の点数設定は1日460点。これは、地域の基幹病院向けに2014年度に新設された総合入院体制加算1(14日目まで1日240点)を220点上回るという手厚さだ。急性期一般病棟に入院する全ての患者にそれを算定できる。
全身麻酔による手術の年2,000件以上(うち緊急手術が年350件以上)の実績や感染対策向上加算1の届け出を求められるなどハードルは高いが、それらをクリアすれば大幅な増収につながる。
ただ、多くの病院関係者にとって「想定外」だったのが、特定の薬局と不動産の賃貸借取引を交わすことを禁じる規定が入ったことだ。いわゆる「敷地内薬局封じ」とされる。
特別調剤基本料を改定のたびに引き下げるなど、厚生労働省はこれまでも敷地内薬局への引き締めを強めてきた。今回は医科点数表の見直しで初めてそれを行い、驚きが広がった。
■日赤は17病院が届け出
高度急性期から慢性期の病院まで全国で91病院を運営する日本赤十字社では、全体のほぼ2割に当たる17病院が急性期充実体制加算を4月に届け出た。
厳しい基準をクリアしたのは、日赤医療センター(東京都渋谷区、701床)や
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