岸田政権が掲げる「分配戦略」の柱とされた看護・介護・保育の賃上げが決まり、医療界全体で賃上げへの期待が高まっています。その中で、特に気になるのが医師事務作業補助者や看護補助者の処遇の行方です。医師や看護師の確保が困難な中、多様化する医療需要に応えるには、医療従事者の勤務負担の軽減に欠かせない2つの職種の役割が一層重要になるからです。
株式会社CBコンサルティング 人事支援課 課長・多田和史
医師事務作業補助者と看護補助者は、それぞれ勤務医と看護師のタスク・シフティングの受け皿として期待されています。国は、これらの職種の配置をこれまでの診療報酬改定で後押ししてきました。2020年度には、回復期リハビリテーション病棟入院料や地域包括ケア病棟入院料だけでなく、有床診療所などでも医師事務作業補助体制加算を算定できるようになり、配置の手厚さに応じて設定されている点数が大幅に引き上げられました=表=。
表 医師事務作業補助者の配置に係る評価の充実(2020年度診療報酬改定)
出典:2020年度診療報酬改定の概要より
この年には、急性期看護補助体制加算など看護補助者の配置への評価も軒並み引き上げられています。さらに、総合的で専門的な急性期医療の提供を評価する「総合入院体制加算」の算定要件のうち、「医療従事者の負担軽減・処遇改善の体制整備」が強化されるなど、医師事務作業補助者と看護補助者の活躍の機会がそろって広がりました。
ほぼ3カ月後に迫った22年度の診療報酬改定では、医師など医療従事者の働き方改革の推進が20年度に続き重点課題に位置付けられました。2職種が一層存在感を強めそうです。
■2職種の配置、どちらも効果はあるのに…
そして、これらの職種の配置が
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