【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
新型コロナウイルスの第3波が襲来し、GoToトラベルは札幌市と大阪市を3週間対象外とし、東京都では再び飲食店に時短要請が始まろうとしているだけでなく、政府の緊急事態宣言の再発令という声も上がりだしている。
新型コロナウイルスの重症患者が増加し、医療提供体制が逼迫していることがこれに大きく関係している。この難局を支えてきた医療機関に対しては、第2次補正予算において重点医療機関等に対する病床確保料での補填を国がしてくれたことは本連載でもすでに言及した通りで、感謝しなければならない。病床確保料については、その補填では全く足りないという病院もあれば、想定以上に入金されて「コロナバブル」の病院もあるといううわさを耳にする一方、いまだ金額すら確定しない都道府県も存在する。これは一定の枠組みを定めた補填であり、また都道府県の事情もあるようで、有利不利が生じることはやむを得ないのかもしれない。
ただし、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた急性期病院の業績が冷え込む中、回復期リハビリテーション病棟を中心とする病院は堅調に推移していることは注目に値する。本稿では、回復期リハビリテーション病棟に焦点を当ててその実態に迫るとともに、運営の留意点と今後の在り方について言及する。
表1は、新型コロナウイルス感染症で最も業績が深刻であった第1四半期について入院基本料別に、昨年度と比較したものだ。回復期リハビリテーション病棟が全体の60%以上を占める病院は、昨年度よりも悪化しているとはいえ、高い利益率を誇っている。このデータではnが51と限られるため福祉医療機構の貸付先のデータも参照するが、回復期リハビリテーション病棟を有する病院の業績は優れている=グラフ1=。
さらに、コロナ禍でも業績を落とさなかった理由としては、病床利用率が大きく下落しなかったことが関係している=資料=。もちろん、一部のリハビリ病院では院内クラスターが発生したのも事実であり、回復期リハ病院の努力の賜物でもあるが、これは回復期病院の構造的な仕組みなのかもしれない。
地域医療構想で、
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次回配信は12月14日5:00を予定しています
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