病院や介護経営の成功のケーススタディーはたくさんあるのに、失敗事例はあまり共有されていない。しかし、成功だけでなく失敗からも学ぶべきことがあるのではないだろうか。病院経営コンサルティングの実績が豊富な東日本税理士法人の長英一郎代表が語る、失敗のケーススタディー。【聞き手/構成・兼松昭夫】
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■ケース1 役員報酬は維持し賞与を大幅カット、マスクは使い回し
一つ目は、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、コスト削減の方法を誤ったケース。小規模なケアミックス型のこの病院は感染症指定医療機関ではなく、PCR検査で陽性の患者は地域の拠点病院に紹介している。ただ、発熱があるなど感染を疑われる患者にも対応しなくてはならず、現場には感染のリスクが常にある。
第一の失敗は、病院が決めた感染防止対策だ。医療用マスクを3カ月分確保しているのに、消毒して使い回してきた。春以降に患者が減少して深刻な収入減に見舞われる中、少しでもコストを抑えるためだが、感染リスクにさらされながら最前線で奮闘するスタッフたちは、モチベーションを下げる。
さらなる失敗は、役員報酬を現状維持としつつ、スタッフの夏の賞与はほぼ全額カットしたことだ。
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