【株式会社スターコンサルティンググループ 代表取締役 糠谷和弘】
■人手不足の解決策は「ダイバーシティ経営」
「2025年には介護士が34万人不足!」
このような記事を目にした方は多いと思います。しかしながら、私たちの現場の感覚では、その不足感は5年先の話ではなく“今”なのではないでしょうか。実際、ニュースでも報じられた通り、訪問介護では有効求人倍率が“13倍”という極めて高い水準となりました。つまり“1人のヘルパーを13社で取り合っている”ということです。もう待ったなしの状況なのです。
これに対して厚生労働省は現在、ICTやロボット機器を活用した生産性の向上と、それによる人員配置の緩和を検討しているようです。有効な手段ではありますが、現状のケアレベルを守ろうとするならば、現場の必要人員を劇的に減らすことはできないでしょう。その打開策が「ダイバーシティ経営」です。外国人をはじめ、シニア、障害者、学生など、国籍、年齢、障害の有無に関係なく、多様な人材を雇用することで、現場をより活性化するのです。
■外国人の採用はいつから?
よくクライアントから「外国人の採用は、いつから始めればよいですか?」と質問されます。「いつ?」と聞くのは「日本は人気国だから、外国人はいつでも採用できる」という楽観的な考えが根底にあるからではないでしょうか。
ところが実際は違います。日本で介護職が人気職ではないように、海外でも介護職よりも外食、宿泊などの方が人気です。仮に介護職を選んだとしても、日本よりも好条件で働ける国は複数あります。
例えばフィリピンで言えば、日本は国別雇用者数ランキング(全職種)で10位にも入っていません。3年前に、私がマニラのケアギバー(介護)専門学校で学生に「行きたい国」を質問した時は、サウジアラビア、カナダなどが上位で、日本は7位でした。決して“人気国”ではありませんでした。
(残り1810字 / 全2655字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】