【一般社団法人リエゾン地域福祉研究所 代表理事 丸山法子】
「2025年の利用者像に合わせて設計した」という、新設の特別養護老人ホームを訪れました。ガラス張りのおしゃれな外観で、館内にはジャズが流れています。インテリアは、北欧風のチェアとニュアンスカラーのカーテン。館内に飾られたハーレーダビッドソンが輝きを放ち、気分が高まります。最新の介護機器がそろい、スタッフはそれぞれの意気込みを表現した漢字を背中にプリントしたかっこいいTシャツを着て、笑顔でケアを行っていました。
都心部では既に「当たり前」かもしれませんが、多くの地方都市の事業者は、介護施設らしくないこの斬新さに驚き、ため息をつき、中には異論を唱える人もいます。ここに多くの人が、介護事業は既に25年を飛び越して、40年に向かってアクセルを全開にし始めたその重力を体感します。
近年の介護現場は、繰り返される制度改正で報酬が乱高下し、やがて来る25年をゴールに全力疾走です。この年、団塊の世代が後期高齢者となる大きな波がやって来ます。団塊の世代は、権利意識やプライドが高い、社会とのつながりの薄い独りぼっちが多い傾向にあります。また、「昭和の右肩上がり信仰」や「成功の喜び」を捨て切れないドリーマーなど価値観の幅がぐっと広い、いわゆる新人類高齢者が利用者となって、あなたの事業所のドアをノックします。
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