現在、2018年度介護報酬改定に向けた審議が、社会保障審議会介護給付費分科会で進められている。しばらくは現状の課題の確認・整理と、それに伴う論点の提示が続くため、同分科会の議論も、まだそれほど熱を帯びていないように見える。ただし、この段階でも厚生労働省が示した論点を詳しく読み解くと、国が次の改定に向けて実現したい方向性が浮き彫りになってくる。
「本丸」とも言える在宅サービス、施設サービスの論点が示される前に、5月12日、24日の介護給付費分科会で示された地域密着型サービスなどの論点について振り返りたい。
■オペレーターの兼務、日中へ拡大の方向で議論
まず、国が強く普及を推進してきた定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24時間訪問サービス)に関する論点から振り返りたい。
○事業者からは、日中のオペレーターについて兼務を求める要望があるが、ICTの活用等も含めた人員基準や資格要件の在り方について検討してはどうか。
○そのサービス提供の多くが、集合住宅に居住する利用者に対して行われているが、地域全体へ必要なサービスが行き届くようにするためにはどのような方策が考えられるか。
24時間訪問サービスについては、現状でも夜間の業務では「オペレーター」と「訪問介護員」の兼務が可能となっている。今回、厚労省が示した論点では、サービスの普及を図るためさらに規制を緩和し、日中も「オペレーター」と「訪問介護員」の兼務を認める方向で議論を進める方針が示されたといってよい。
もちろん、厚労省の思惑通りに議論が進むとは限らない。そもそも24時間訪問サービスは都市部と地方での提供ギャップが大きいという課題があり、オンコール体制の見直しから考えるべきという意見もある。また、このサービスは高齢者住宅との併設で効率が高まるが、半面、高齢者住宅以外の地域社会へのサービス提供が進まないという課題もある。
まとめると、24時間訪問サービスについては、兼務に関する規制緩和だけでなく、地域社会や地方へのサービス普及を実現するための施策も、今後の焦点となるだろう。
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