介護サービス情報公表制度は、利用者の適切な選択を手助けする目的で2006年4月に始まった制度である。介護報酬の年間の収入が100万円を超えている事業者は、定められた情報を都道府県に報告して協力しなければならない。しかし、公表されている情報が必要不可欠であるという声は全く耳にしない。というか、利用者がこの制度を活用しているという話は聞いたことがない。
事実、公正取引委員会が昨年9月に出したレポートによると、情報公表制度を「使ったことがない」と答えた利用者やその家族は80.8%だった上、「分からない」との回答も11.7%あった。
つまり、国民の9割以上が活用していないということだ。
■「やめた方がいい」との辛らつな意見も
このため今年3月に行われた政府の規制改革推進会議主催の公開ディスカッションでは、情報公表制度が十分な成果を挙げていないとして、厚生労働省への批判が続出した。それに対して厚労省は「周知が不足していたと反省している」と弁明するとともに、「これから対策を調査・研究して情報の見せ方を改善していきたい」などと理解を求めたが、参加した有識者から「もうやめちゃった方がいいんじゃないか」「民間に任せた方がよっぽどいい」といった辛らつな意見も出た。
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