【大阪市立大学大学院経営学研究科 川村尚也】
筆者が担当する大阪市立大学の「医療・福祉イノベーション経営」社会人大学院プログラムでは、医療・福祉組織の管理職は、2年をかけて自組織アクションリサーチの準備を進める。
前半1年は、自組織・環境の発展経緯と事業環境・経営・組織・財務の分析などを踏まえ、修了後に自組織で実施する実践・組織変革行動計画(アクションプラン)の原案を考える。残り1年間で、自組織の共同実地調査などを通じて、アクションプランのイノベーション(革新)性を向上させ、修了論文(アクションリサーチ研究計画)を磨き上げていく。修了論文は、純粋な学術研究論文ではなく、アクションプランを推進するための強力なツールになるように執筆される。
本プログラムでは、受講生が各自のアクションプランのイノベーション性を、▽ラディカル性▽先駆性▽ローカリティ▽持続的発展可能性▽比較優位性-の5つの次元で評価する。まず自分自身で評価し、次にその自己評価の妥当性を教員・同級生と共に、繰り返し厳しく検証しながら、よりイノベーティブなものへと練り上げていく。
最も重要で挑戦的な「ラディカル性」の次元では、アクションプランがどれほど現状破壊・革命的なものか、グローバル化する現代社会・経済の基底にあるどのような「構造的矛盾」を、どのように、どの程度解消しようとするものかを評価の基準としている。
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