【虎の門病院事務部次長 北澤将】
「私の思っていた治療と違う」といったトラブルの背景には、ネット上のレビューに影響されているケースが多いと感じる。
スマートフォンが広まるまで、施設選びの情報源は口コミに限られていた。今日では、「施設を利用する前にレビューを読んで下調べする」→「利用した感想を利用者がレビューに書き込む」→「他の利用者がさらに書き込まれたレビューを見て、利用する施設を決める」という流れが当然になった。施設を選ぶ際にレビューを参考にするのは、「損をしたくない」「よりよいサービスを受けたい」という利用者の心情からすれば、当然の行動とも言える。一方、施設側からすれば、好印象のレビューは新しい利用者を呼び込むことになり、両者の利益は合致している。
このように、ネット上のレビューの影響力は無視できない。利用者の声が即、サービスに反映する社会になりつつあり、便利な時代になったものだが、医療におけるレビューは、医療機関のトラブルと決して無縁ではない。レビューには「期待値の過上昇」といった“伏兵”が潜んでいるからだ。
患者さんがレビューを調べた上で、医療機関を受診するケースが多い。レビューを事前に丹念に読み込み、「この医療機関なら」と来院する分、期待値が高くなる。このようなことから、思い通りの検査を受けられなかった場合や治療結果にならなかった場合に、トラブルに発展する。
次回配信は2月9日5:00を予定しています
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