【千葉大学医学部附属病院病院長企画室長・病院長補佐・特任教授 井上貴裕】
連載第45回「Ⅱ群を目指すと赤字になるのか」では、Ⅱ群を目指せる病院は限られていることを説明し、別稿でⅡ群を目指してよい病院についての具体的な指標を提示するとお伝えした。本稿では、現行の実績要件を前提としたⅡ群を目指してよい病院の指標について考えたい。
=表=は退院患者の平均年齢や入院期間Ⅱ以内の割合などを病院別に見たものであり、予定入院割合が多い順に並べたものだ。ここから、Ⅰ・Ⅱ群病院は予定入院の割合が多く、結果として、入院期間Ⅱ以内の退院患者割合が高くなることが分かる。Ⅱ群病院の多くは、予定入院割合が50%を超えているのに対し、J病院は緊急入院割合が多い。しかし、J病院は入院期間Ⅱ以内の退院患者割合が76%と優れている。これは近隣に転院先が多数確保されているからだ。救急を受け入れるためには医療連携が重要であり、スムーズに転院できる仕組みをいかに作るかがポイントである。さらに表を見ると、Ⅰ・Ⅱ群は患者の平均年齢が低いことが注目される。これは、治癒を目指して「戦い」に来る患者が多いことが関係しており、高齢者よりも濃厚な治療が行われるためだろう。結果として診療密度が高くなるわけだ。
次回配信は2017年1月9日を予定しています
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