社会保障審議会の「療養病床の在り方等に関する特別部会」(部会長=遠藤久夫・学習院大教授)は26日の会合で、2017年度末に廃止期限を迎える「介護療養型医療施設」(介護療養病床)の受け皿となる新たな類型の基準の概要を示した。スムーズな転換に配慮してか、現状の介護療養病床の基準をほぼ継承する内容が示されている。ただ、今回示されたのは、あくまで概要に過ぎず、今後の議論では、さらに病院経営に直結する改正内容が提示される見通しだ。改めて、今後の議論の注目点について解説する。【ただ正芳、佐藤貴彦】
26日の会合で厚労省は、介護保険法に基づく新類型である「医療内包型」と、介護保険法に基づく既存の類型と医療機関を併設させた上で、運用上の特例を設けたり、各種の要件を緩和したりする「医療外付型」とで、計3パターンの案を示した。
介護療養病床のうち、療養機能強化型Aと同Bの利用者らが対象となる「医療内包型」の「I型」では、人員配置などの最低基準を現行の介護療養病床と同程度とした。一方、介護療養病床の「その他」の利用者など、容体が比較的安定した人を主な対象と位置付ける「Ⅱ型」では、人員配置基準などを介護老人保健施設(老健)の基準以上とした=表1=。
利用者一人当たりの床面積は、両パターンとも老健相当の8.0平方メートル以上とした。また、低所得者への配慮として、食費と居住費の自己負担を軽減させる「補足給付」の対象にすることとした。
「医療外付型」では、居住スペースの部分を「特定施設入居者生活介護の指定を受ける有料老人ホーム」などにすることを想定。主な利用者像は「医療の必要性は多様だが、容体は比較的安定した者」で、併設する医療機関の医師が、往診などで夜間・休日の対応を行うことが可能だとした。利用者一人当たりの床面積は、「個室で13.0平方メートル以上」と提案。ただし、既存の建築物を利用する場合、個室であればよいとしている=表2=。
さらに、新類型を設ける場合のスケジュールのイメージも提示。来年度末の設置期限を迎えた後も介護療養病床を運営できる「経過期間」を設ける必要があるとし、次の介護保険事業計画の計画期間(2018年4月から3年間)を経過期間と位置付ける図を示した。
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