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患者申出療養は、国内で未承認の薬などを使う「保険外診療」と「保険診療」との併用を例外的に認める「保険外併用療養」の中に位置付けられている。このため、対象となる医療機関は先進医療などと同様、公的医療保険の適用に向け、有効性などのデータを集める。
患者は全国に74カ所(先月1日現在)ある医療機関の窓口に相談後、都市部の大学病院などの「臨床研究中核病院」が実施計画を作成し、国に提出する流れになっている。
今回の併用療法は、腹部に埋め込んだ注入器から抗がん剤を直接投与し、別の抗がん剤も併せて服用することで、より高い治療効果を狙う。東大医学部附属病院の実施計画が、先月7日に受理され、厚生労働省の評価会議が承認した。
■先進医療の適格基準の7項目を緩和
厚労省は19日の中医協の総会で、実施計画の中身を報告。これに日医の委員が異議を唱えた。日医側が特に問題視したのが、対象患者を選ぶための基準(適格基準)だ。
患者申出療養は、困難な病と闘う患者の思いに応えることが制度の理念となっているため、既存の先進医療の適格基準から外れた患者も対象となる。今回の治療法は、先進医療で一定の有効性が確認されているが、患者申出療養を申請した患者は、その適格基準の一部が当てはまらなかったため、先進医療を受けることができなかった。
東大医学部附属病院の実施計画では、先進医療で定められた適格基準のうち7項目を緩和し、対象年齢や全身状態を評価する数値の範囲などを広げることで、1年間で100人の症例数を予定している。
■きっかけ患者も、「主客が転倒している」
厚労省によると、患者申出療養を申請した患者は、適格基準のうち2項目で該当しなかったという。
日医側は、「他の5項目を拡大するのはおかしな話。(症例数)100例の想定があるからではないか」「一例一例を慎重に判断すべきだ」などと指摘した上で、「制度自体は素晴らしい。患者の申出にも賛成するが、こうした形で始まるのは非常に残念だ」と述べた。
また患者を代表する委員も、「きっかけが患者なのに、主客が転倒している」などと発言し、適格基準の拡大に伴って患者が亡くなった場合、現行の先進医療の評価に影響が出ることに懸念を表明した。
厚労省の担当者は、「今回は計画通りに取り扱いたい」とした上で、「評価会議に報告し、第二、第三の事例でしっかりと対応していく」と述べた。
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