次の介護保険制度改正を見据えた議論が進められている社会保障審議会介護保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大教授)が19日、開かれた。この日は、介護サービスの利用者負担の割合や、支払った金額の一部が返金される制度(高額介護サービス費)の基準などが改めて議題となり、支払う能力がある人に多くの負担を求める考え方で利用者負担などを見直す方針が大半の委員から支持された。この日の議論を踏まえ、同部会では負担割合の引き上げや、一部に限定されている2割負担の対象範囲の拡大など、利用者負担をさらに拡大する方向での見直しが検討される見通し。【ただ正芳】
従来、介護保険サービスの利用者負担は一律1割だったが昨年8月、「年間合計所得金額160万円、年金収入の場合280万円以上」の所得がある人については、2割に引き上げられた。
また、高額介護サービス費の基準については、やはり昨年8月から現役並みの所得がある高齢者に限り、引き上げが行われている。具体的には世帯内に課税所得(※注)が145 万円以上の65 歳以上の人がいる場合に限り、3万7200円から4万4400円にまで引き上げられた。
さらに、特別養護老人ホームなどの利用者のうち、住民税非課税世帯の人に居住費や食費などを支給する「補足給付」についても、昨年8月から、▽世帯分離した配偶者が住民税課税の場合▽単身で1000万円以上か、夫婦で2000万円以上の預貯金や有価証券がある場合-などに該当する人まで、給付の対象外となった。
これに対し、昨年12月に取りまとめられた経済財政諮問会議の「経済・財政再生アクション・プログラム」には、利用者負担や高額介護サービス費などについて、今年度末までにさらなる見直しを検討し、結論を得るべきとする内容が盛り込まれた。
こうした状況を踏まえ、厚生労働省は19日の同部会で、改めて利用者負担や高額介護サービス費、補足給付についての論点を提示した。
注:収入から公的年金等控除、必要経費、給与所得控除等の地方税法上の控除金額を差し引いた後の額
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