医療分野ではDPCやNDBなどのデータを利用し、医療機関が経営分析などに活用することは珍しくない。ただ、介護分野では、業務の特性もあるが、データを活用する視点は十分とはいえなかった。その傾向も少しずつ変わっていくかもしれない。
厚生労働省の「地域包括ケア『見える化』システム」は、端的に言えば、都道府県や市区町村が、介護保険事業(支援)計画などを策定することを支援するシステムだが、一般でも利用可能。医療機関なども一度、地域の介護の状況やリソースを確認してはどうだろうか。【大戸豊】
「見える化」は現在進行形で進められている国家戦略だ。経済財政運営と改革の基本方針2016(骨太方針2016、今年6月2日閣議決定)では、医療・介護分野等における給付の実態やその地域差等を明らかにする「見える化」を徹底して行い、医療・介護の総合的な対策を推進するために、双方のデータを連結した分析を進める方針が示されている。
医療機関にとって、介護保険事業(支援)計画は、なじみがないかもしれない。しかし、2018年度から始まる第7期計画は、地域医療構想を踏まえた保健医療計画と整合性を持たせることになっている。
また、地域医療構想では、療養病床の入院患者数のうち、医療区分1の患者の7割を「在宅医療等」で対応する患者数として見込むことから、病院から在宅への移行が今以上に進むことは間違いないだろう。
地域包括ケア「見える化」システムは、住民も含めた地域の関係者間で、地域の課題や解決に向けた取り組みを共有することも一つの目的とされ、一般の利用も想定されている(一部機能については自治体関係者のみ)。プロトタイプのスタートから2年半が過ぎたが、現時点でも医療関係者に限らず、介護関係者の知名度もあまり高くないのが実情だ。
地域包括ケア「見える化」システムの目的
介護保険部会(9月23日)資料より
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