【株式会社To Doビズ代表取締役 篠塚功】
はじめに
前回は、定性的な行動評価と定量的な業績評価とのバランス、医療の質と経営の質のバランスを考えて考課要素を設定することが重要と説明しました。
被考課者の行動を観察し、その行動に基づいて評価することが人事考課の基本ですが、医師の場合、多忙な上司が部下を観察するのは、とても難しいはずです。したがって、客観的な評価のためにも、定量的な評価を重視したいでしょう。また、医師は病院経営の要です。数値を伸ばしてもらいたいというのが正直なところでしょう。
今回は、定量的な業績評価を中心に導入のポイントを説明します。
数値でとらえる評価は、指標や評価の基準の設定に誤りがなければ、医師の納得感も高まり、努力してくれるでしょう。しかし、診療科や医師によっては、公正さを欠くような指標は設定できませんし、そもそも、医師一人ひとりの数値が出せなければ運用もできません。指標の設定がネックになることも多いのです。
やはり、病院長が医師に何を期待するかを基本にしながら、医師共通の評価指標を決める必要があります。例えば、「論文・学会発表の回数」や「医局会への出席率」などを指標とすれば、病院長は医療の質の面で期待しているということ、または新入院患者数や手術数を指標にするなら、経営面で期待しているというメッセージが医師にも伝わるでしょう。
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