病院経営を学ぶには、「オルタナティブ」な方法が必要-。このほど東京都内で開催された第54回日本医療・病院管理学会学術総会では、「医療と経営の質がわかる人材育成と専門性」をテーマにパネルディスカッションが行われた。大阪市立大大学院経営学研究科の川村尚也准教授は、経営学の立場から、医療や福祉の組織においてイノベーションを起こせる人材をどのように育成すればよいか、これまでの実践を交えながら考察した。【大戸豊】
プロジェクトでは、受講生が自組織の問題を持ち寄り、教員や同級生と一緒に自組織の実地調査も行って構造的な要因を分析しつつ、各組織の本質的な経営課題を明らかにしていく。さらに、自らリーダーシップを発揮し、課題に取り組むためのアクションプランを、2年かけて修了論文としてまとめる。修了後は、プランを自組織に持ち帰り、上司や同僚と協力して実践に移す。
川村准教授は、日本の病院はこれまで、企業や米国の病院のような専門経営者がいなくても、専門職がそれぞれ自律的に業務を進め、相互に擦り合わせをしながら、サービスを提供してきたとみている。ただ、そのような病院組織は、業務量が多くなると、調整のために患者や専門職自身が負担するコストが非常に大きくなり、調整の失敗が医療事故につながるリスクもあると指摘する。
高齢化などによって医療ニーズが増大する中、そうした日本の病院が、調整のコストとリスクを抑えながら、患者や国民に一層価値をもたらすイノベーションを生み続け、持続的に発展できる経営のあり方を模索する必要があるという。
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