この秋、厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会では、次の制度改正を見据えた議論が本格化する。注目されるのは軽度者に対する生活支援だ。既に同部会では、軽度者の生活支援について給付削減の方向性が示されており、その具体的な方法として、市町村の地域支援事業への移行も議論されている。移行によって地域の特性に沿った生活支援と給付抑制を同時に実現できるとする有識者もいるが、一方でその実現性そのものを危ぶむ声を上げる人々もいる。
中でも特に事業移行後の受け皿となる市区町村が強く反対している事実は重く受け止めなければならない。CBnewsでは、急激に高齢化が進行すると見込まれる首都圏の基礎自治体にアンケート調査を実施した。その結果、軽度者を対象とした訪問介護の生活支援が地域支援事業へ移行された場合、対応できないとする自治体は半分近くに達するなど、地域支援事業への移行拡大に異論を唱える声が寄せられた。【大戸豊、ただ正芳】
7月20日、軽度者への支援を議題に掲げた社会保障審議会介護保険部会に対し、厚労省は、訪問介護における生活援助に対する給付について、「給付の見直しや地域支援事業への移行、負担のあり方」を論点として示した。それ以前には、財務省の財政制度等審議会が、軽度者(要介護1、2)に対する通所介護の生活支援を、自治体主導の地域支援事業に移行することを提案していることもあり、軽度者向けの生活支援が何らかの形で地域支援事業に移行される可能性は高い。
その市区では前回の介護保険法改正を受け、介護予防給付の通所介護と訪問介護を地域支援事業に移行する作業が進められている。その途中で、さらに別のサービスの移行も求められるとなれば、十分な対応が可能なのか―。
CBnewsでは8月末から9月にかけて、関東の市区193自治体を対象にアンケート調査を実施。71か所の自治体から回答を得た。
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