2014年度の診療報酬改定で新設された「ADL維持向上等体制加算」は、セラピストの配置基準や疾患別リハビリの除外規定など、要件のハードルが高く、届け出数は低迷した。16年度改定では、要件が厳格化される一方、点数は3倍超に増加。経営上の判断に悩みながら、改定前に届け出た「森の里病院」(神奈川県厚木市)の尾形淳一事務長は、「評価が上がることを想定し、先に動いた結果がついたと思う」と話す。【敦賀陽平】
専従配置はそれまで常勤1人以上だったが、改定後は常勤2人以上か、専従配置と専任配置(常勤)で各1人以上のいずれかを選べるようになった。また、同加算の算定については、あらかじめ登録したセラピストが病棟で6時間以上勤務した日に限定するルールに変更。さらに、術後のADLのアウトカム評価が新たに加わったほか、多職種によるカンファレンスの中身が明確化された。
森の里病院では改定前から、新たな配置基準を満たし、医師や看護師、セラピストら多職種によるカンファレンスで情報の共有も図っていた。このため、改定後の新要件も難なくクリアできたという。ADL加算による一カ月の収益は、改定前のおよそ3倍に当たる15-16万円となり、年200万円近くの増収につながる見通しだ。「必要なところに点数が付いてよかった」と、尾形事務長は笑顔を見せる。
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