医療機関同士の機能分化を進めるため、紹介率・逆紹介率が低い大病院を罰する色が強まった2014年度診療報酬改定。今年4月、紹介状を持たない外来患者らからの特別料金の徴収が特定機能病院などに義務付けられるなど、機能分化を推し進める政策は年々加速している。そんな中、連携先不足で苦しんできた国保旭中央病院(989床、千葉県旭市)に大きな変化が起きた。紹介率と逆紹介率が急上昇し、地域医療支援病院の要件クリアに王手をかけている。【佐藤貴彦】
全国一律の外来機能分化は限界-国保旭・吉田管理者、地域ビジョンに期待
14年度改定で強化された大病院向けのペナルティーは、紹介率と逆紹介率がいずれも一定の基準を下回った場合に、初診料と外来診療料を4分の1以上減算するもの。12年度改定で導入された際、対象は特定機能病院と一般病床500床以上の地域医療支援病院のみだったが、許可病床500床以上かつ一般病床200床以上の全病院に拡大された。
この見直しで、国保旭中央病院もペナルティーの対象に加わった。同病院の年間の延べ外来患者数は60万人を超える。大幅な減算を免れるため、患者に逆紹介先を案内する「紹介患者センター」を設置するなど、地域連携の取り組みに一層力を入れた。
ペナルティーを回避するには、紹介率40%以上・逆紹介率30%以上のいずれかをクリアする必要がある。これに対し、同病院の13年度の実績は、紹介率が40.0%、逆紹介率が26.8%で、安全圏とは言い難かった。それまでにも対策は講じてきたが、医療資源が限られ、産婦人科などは市内の医療機関の中で同病院のみが標榜している。14年度も思い通りには進まず、いずれも50%を目標として掲げたものの、逆紹介率は38.6%にとどまり、紹介率は32.7%に低下した。
しかし、同年度の紹介患者数は延べ2万人超、逆紹介患者数は延べ2万人弱で、全国の地域医療支援病院に引けを取らない。「やり方によっては、パーセントも上げる方法があるんじゃないか」―。当時、同病院の事業管理者で、現在は運営法人の理事長を務める吉田象二氏はそう考え、地域連携を進める運動に再び力を入れた。
■単月の紹介率は約5割、逆紹介率は7割超に
その成果は今、面白いように表れている。一つは、今年4月からDPC対象病院のⅡ群に選定されたこと。これまで、大学病院本院並みの密度で難易度の高い手術を行う要件がネックになっていたが、比較的軽症な救急患者の受け入れが減ったことなどで基準を上回った。
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