日本病院薬剤師会はこのほど、東京都内で「中小病院薬剤師実践セミナー」を開催した。事例発表では、病院薬剤師が訪問看護師や薬局と連携し、認知機能の低下した患者が自ら服薬できるようになったり、介護施設などでのポリファーマシー(多剤併用に伴う有害事象)対策を地域に広げたケースなどが紹介された。【大戸豊】
南国病院(高知県南国市)の川添哲嗣薬剤部長は、病院薬剤師がどのように地域包括ケアにかかわれるのかを事例とともに紹介した。
同院では、服薬指導チェックシートなどを利用し、入院初期に患者の服薬状況と課題を評価し、解決すべき目標を明らかにしている。
ある患者は認知機能が低下したため、一包化した上で週間のお薬カレンダーを使っても、薬の飲み残しが出ていた。そこで、カレンダーを“日めくり”に変えることにした。川添部長は一包化された薬を日めくりカレンダーとともに、訪問看護師に渡し、その後患者は訪問看護師と一緒に、薬を張っていく作業を行い、欠かさず薬を飲めるようになった。別の入院患者も認知機能の衰えがあった。複数の医療機関にかかり、複数の薬局に処方せんを渡していたが、入院に伴い、薬をまとめ、患者と相談しながら薬局も一つに絞った。対象から外れた薬局にも、その旨を伝えたところ、快く応じてくれたという。
川添部長は、院内の地域連携室と薬剤師が、患者・家族の意向に基づき、ケアマネジャーや訪問看護師、薬局と連絡を取ることで、スムーズに退院できると述べた。また、介護サービスがない日のためにも、家族や隣人、民生委員などにも、協力を呼び掛けることも大切とした。
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