4月中旬に発生した熊本地震は、熊本地域(熊本市)と上益城の二次医療圏の統合に向けた協議が本格的に始まる矢先の出来事だった。上益城は地震で大きな被害を受けたエリアの一つ。県の推計によると、団塊の世代が全員75歳以上となる2025年、上益城の患者の6割以上が他圏へ流出する。震災の教訓を踏まえ、構想区域をどう考えるべきなのか―。現地の医療者の受け止めはさまざまだ。【敦賀陽平】
上益城郡医師会の会長を務める永田理事長は、上益城の「災害医療調整本部長」として、JMAT(日本医師会災害医療チーム)の業務のサポートなどに奔走した。「被災した医療者は、クラッシュシンドロームなどの超急性期の救急医療を担うが、それ以外のことは外からの支援に頼るしかない。そのことを痛感した」。
災害時、開業医はかかりつけの患者だけでなく、経営する医療機関の職員や自分の家族の生活も守らなければならない。「被災する側の災害医療は想定していなかった。自分の患者を診るだけで精いっぱいの状況でした」。永田理事長はこう振り返る。
震災で宙に浮く地域医療構想-熊本地震3カ月の現場から(上)
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