熊本地震の発生から14日で3カ月を迎える。熊本県外から訪れていた医療支援チームも既に引き揚げ、被災した医療機関は、それぞれ復旧に向けた歩みを進めている。今後、熊本の災害医療計画を考える上で、一つのカギとなるのが地域医療構想だ。しかし、構想を策定する県の委員会は事実上ストップし、先行きは見通せない。熊本の地域医療構想はどこへ向かうのか―。現状を取材した。【敦賀陽平】
県は昨年8月、地域医療構想の策定に向けた「地域医療構想検討専門委員会」を設置。熊本には計11の二次医療圏があるため、各地域における具体的な内容は医療圏ごとの部会で審議することになった。
最大の焦点となっているのが構想区域だ。県は今年3月の専門委の会合で、熊本地域(熊本市)と上益城については、同市医師会と上益城郡医師会とで調整し、合意した内容に基づいて構想区域を設定する一方、それ以外の9地域に関しては、現行の二次医療圏とすることを提案した。最終的な結論は、各部会で決めることになったが、その後の熊本地震で協議はストップする。
■医療圏統合で病床削減を懸念する声も
県は当初、5つの区域案を示していた。厚生労働省の基準では、▽人口20万人未満▽流入する患者の割合が20%未満▽流出する患者の割合が20%以上―のすべてを満たす場合、二次医療圏の見直しを検討するよう求めている。現在、4地域(有明、鹿本、阿蘇、八代)がこれに該当するが、県が25年の状況を推計した結果、新たに「天草」も加わる見通しであることが分かった。
この基準に達しないようにするため、県は複数の二次医療圏の合併案を提示。各部会での協議の末、最終的に残ったのが熊本と上益城だった =図= 。
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