「孤独な子育てを変えたい」―。今年5月末に「小児科オンライン」で、インターネットを通じた医療相談を開始した株式会社Kids Public(東京都北区)の橋本直也社長は、こう話す。子どもの夜泣きなどに困り、途方に暮れる母親たちを遠隔診療で助けようとする動きが活発だ。クリニックで初回に対面診療した後に、ネットで再診できるシステムを導入している医療法人社団ナイズ(同渋谷区)の白岡亮平理事長は、「子育ての環境が改善される」と期待を寄せる。小児科での遠隔診療の動きを追った。【君塚靖】
待ち時間短縮、電話再診にも活躍(2016/05/12)
新たな遠隔診療の形がここにあった(2016/06/13)
遠隔診療の鍵は対面「想定」しているか否か(2016/05/20) 「小児科オンライン」は、有料の会員制医療相談サービス。今年2月に仮サイトを立ち上げ、5月末から本格運用を開始している。現在参加している医師は13人で、自身が育児休暇中の女性医師もいる。ネットの医療相談は、子育てをしている女性医師に自宅で医師として働くという新たな機会も提供している。
Kids Publicの橋本社長も医師で、非常勤で小児科クリニックに勤めている。その勤務の合間に自宅で、「小児科オンライン」の医療相談をしている。以前、国立成育医療研究センターに勤務していたころ、親御さんが子どもの健康に関する不安をぬぐい切れず、多くの人が軽症にもかかわらず外来を受診する状況を目の当たりにした。小児科医の側から、この状態なら自宅で過ごしていいですよと伝えることができれば、親御さんの負担が減るのではないかと思い、「小児科オンライン」を始めようと決意した。ネットで適切な医療相談を提供できれば、翌朝までずっと孤独なお母さんたちに、手を差し伸べられると考えた。
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