訪問看護師の約半数が、利用者やその家族から暴力を受けたことがある-。
兵庫県内の訪問看護師を対象に行われた調査で、こうした実態が明らかになった。看護師が1人で利用者宅を訪れることの多い訪問看護の現場は、第三者の目が届きにくく、暴力が生まれやすいシチュエーションとも言える。一方で、事業所側の予防策や発生後の対応が十分ではない状況もうかがえ、林教授は「一事業所の努力だけでは対策にも限界がある。行政の仕組みや支援が必要だ」と指摘している。【烏美紀子】
調査は、神戸市看護大の林千冬教授らの研究グループが昨年12月から今年1月にかけて、兵庫県内の訪問看護ステーション83施設の職員600人を対象に実施。358人から回答があった。回答者の年代は40代が49%で最多、訪問看護の経験年数は6年以上が46%。
「これまでに利用者や利用者の家族・親族から暴力を受けたことがある」と答えた人は50%(180人)に上った。受けた暴力(複数回答)は「威圧的な態度を取られる」が49%で最も多く、「侮辱される言葉を投げ付けられる」(45%)、「たたかれる、殴られる、けられる」(28%)、「理不尽な要求を繰り返される」(20%)と続いた。
具体的な暴言・威圧の内容は「はよ帰れ、二度と来るな」「はさみで刺したろか」「不細工やの」といったもので、性的な被害に関する回答もあった。
暴力を振るったのは「利用者本人」が71%。「利用者の家族・親族」は24%だった。
(残り939字 / 全1564字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】