【独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)中京病院附属介護老人保健施設看護部 認知症看護認定看護師 西谷由美】
前回、当院のDST(認知症サポートチーム)は、病棟看護師を側面から支援し、負担感を軽減するスタンスで活動をしているとお伝えしました。理由の1つは、DSTは週1回のラウンドが基本で、患者に直接的なケアをする時間がないためです。ラウンドの際のわずかな時間に、機会があれば看護師から相談のあった患者の方と直接会話をする程度です。看護師は自ら考え行動できるので、DSTとしての思いを伝え、それが病棟看護師も同調できる内容であれば、その先はいろいろと工夫をしてくれます。そのような経験が積み重なっていくことで、病棟看護師の対応能力が向上していくと考えています。
また、入院中の認知症の方にとって、病棟看護師は接する機会も多く、非常に大きな環境要因となることに、気付いてほしいと思っています。
認知症の方は周囲の環境の変化を鋭敏に感じ取ります。これには、入院に伴う居室環境の変化だけでなく、かかわる人の感情の変化も含まれます。認知症の方が転倒を繰り返したりすると、看護師側にネガティブな感情が生じてしまいますが、そのような気持ちの状態でかかわると関係性が悪化し、悪循環に陥ることもあります。
このため、DSTラウンドの際には、病棟での困り事を聞くのと同時に、たまっている感情を表出できるようにかかわり、看護師がストレスをため込まないよう意識しています。
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