【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 准教授 京極真】
Q.先日、若手職員たちと私(院長)で食事したところ、 日ごろ事務長や看護師長たちから受けていた報告よりも、 ずっと厳しい現場の実態を口々に訴えられました。 …どうやら私は知らないうちに、「裸の王様」になっていたようです。 この状態から脱するには、どうしたらいいでしょうか。 |
①楽しみの尊重 ②目的の明確化 ③情報の共有
④議論の促進-などの対応を行いましょう。
前回 の質問は、激怒する上司(院長)に部下はどう対応したらよいか、でした。
それに対して、今回は上司自らが「裸の王様」という状態を克服するにはどうしたらよいかがテーマです。両者は似て非なる問題なので、当然のことながら対策も違ってきます。
■「裸の王様」は作り出される
権威は知らず知らずのうちに「裸の王様」を生成する―。
「信念対立解明アプローチ」 という視点で権威をめぐる信念対立を考究する私に、こう実感させてくれたのは、「部下をチカラでねじ伏せる横暴な上司」でもなければ、「上の意見にいちいち大げさに同調するイエスマンの部下」でもありません。むしろ「権威の暴走が組織の腐敗を促進するのだ」といつも主張していたような人が権威を得た途端、立派な“ショーグン様”になっていくさまでした。
「『裸の王様』になってはいけない!」という当初の主張はどこへやら、その人たちは、自分に意見する部下に対して「人間としてのレベルが低い」「誠意を見せろ」「土下座して謝罪すべき」などと言うようになりました。他方、自身に対して従順なイエスマンは重宝しました。なので、彼らの周囲にイエスマンはどんどん増えるものの、優秀な人からどんどんいなくなりました。
こうしたケースは、決してレアな出来事ではありません。ということは 、「裸の王様」問題は、個人の資質によって生じるというよりも、権威という構造によって生じている問題 だと考える必要があります。私たちがいくら注意をしていても、権威という立場こそが「裸の王様」を作り出してしまうのです。
では、冒頭の質問に答えるために、「裸の王様」という状態が成立する理由から確認していきましょう。
次回配信は7月8日5:00を予定しています
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