【吉備国際大 保健医療福祉学部 作業療法学科 准教授 京極真】
Q.院長がよく怒ります。 この前は、事務員がちょっと書類の場所を変えただけで、 「勝手に変えるな!」と怒鳴られました。 私たち職員はいつも院長の顔色を見て、びくびくしながら 仕事をしています。 激怒する院長には、どう接したらいいんでしょうか。 |
権威を持つ者が激怒しやすい構造を理解して、
権限を分散する、怒りに反応しない、現象の差に意識を向ける、目標を共有する-などに取り組みましょう。
■院長だって大変なんです!
「多職種連携なんて必要ない。私一人で十分だ!」
「あんなやつを卒業させるなんて、最近の大学教育はどうなっているんだ!?」
「君たち教育者は医療を理解していない!!」
驚くなかれ。これは、私が仕事でたまたま訪れたいくつかの病院で、ほとんど面識のない院長たちからいきなり投げ付けられた罵詈雑言の数々です。例えば、院長を怒らせた「あんなやつ」と私に、接点はまったくありませんでした。後で分かったことですが、これらはいずれも、院長が別件で激高しているところへ私がタイミングよく(?)訪問したために生じた事例でした。
ここで、 信念対立解明アプローチ 1) を唱導する私が院長の顔色を見たり、おびえたりしたと思ったら間違いです。むしろ、私は院長が気の毒でした。だって、よく知らない相手に怒鳴るって危険な行為なのに、そうせざるを得ないぐらい余裕を失った状態だったわけですから。やはり院長という仕事は大変です。
もちろん多くの院長は、適切に感情をコントロールしながら、多職種連携の機能向上に努めています。ただ、冒頭の相談にもあるように「院長がよく怒る」「以前は温厚だったのに、院長になってから怒りやすくなった」という話はしばしば見聞きします。周囲に当たり散らしてしまう人もいるのです。
次回配信は6月10日5:00を予定しています
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