売り手市場が続く医療現場では、採用を焦るあまり、「看護師の資格を持っていれば誰でもいい」「採用条件をもっと上げよう」などとなりがちだ。しかし、「誰でもいい」と思われる職場で働きたいだろうか。給与や待遇面に飛び付く人は、もっと良い求人を見つけたらすぐに転職するのではないか。一見、遠回りに見えても、ちゃんと働き続けてくれる人を採用する方が、結局は「辞めない職場づくり」の近道となる。そう主張する、大平社会保険労務士事務所代表の大平裕志氏に、何か秘策はないか聞いてみた。【坂本朝子】
「暴論かもしれないが」と断った上で、「離職が後を絶たない状態が何年も続いているのであれば、スタッフの総入れ替えという発想も必要」と大平氏は話す。
実際、大平氏が長年さまざまな医療機関の人事労務に携わってきた中でも、職員が皆、去ってしまったことでスタッフが入れ替わったケースはしばしば見られるという。
例えば、ある元勤務医が開業したクリニックでは、人との接し方が分からない院長が職員同士のトラブルにうまく対処できず、それを放置してしまったがために、スタッフが総辞職してしまった。しかし、その後、院長が勤務医とは違う経営者という立場になったことを自覚し、運営やスタッフとのコミュニケーションの在り方を見直すことで、新しいスタッフと共に再スタートを切ることができたという。
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