「高齢者や車いすの方が、薬局に行くために道路を渡るのは大変」「規制が患者視点に立っていない」―。こうした指摘を受けて、政府は昨年6月、薬局の構造に関する規制を見直すことを決定。今年10月から「門内薬局」が“解禁”されることになったが、厚生労働省はその一方で、薬局が立地ではなく機能で患者から選択されるべきだとして、2016年度診療報酬改定で「門内薬局」などにペナルティーを科している。【佐藤貴彦】
医療保険制度では、薬局と医療機関とが「一体的」な構造であることが禁止されている。実質的に経営上の一体性が生じ、薬局薬剤師の業務が処方医の強い影響を受けると考えられるためだ。
従来の規制は、薬局の土地・建物と医療機関の土地・建物とを、公道などを介さずに患者が行き来できる形態を禁止し、保険薬局としての新規指定や指定更新を認めないこととしていた。例えば、病院と薬局の土地が隣接し、公道を介さずに行き来できる場合は境界にフェンスを設けなければならなかった。
しかし、政府の「規制改革会議」が、この規制を患者に不便を強いるものだとして問題視。「建物が同じだからといって経営が一体になるわけではない」などとして見直しを求めた。
また、同会議の一部の委員からは、「門前薬局」のカウンターだけを、病院内に設置できるように規制を緩めるべきといった意見も出た。院内にカウンターを設ける形態は「院内薬局」と言えるが、今回の規制の見直しでは、その形態は解禁されなかった。
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