【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高、株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■短期滞在手術基本料3の改定はデータに基づいたものに
今回より、これまでも本稿データ分析等を手伝ってもらっていた株式会社メディチュア代表取締役の渡辺優氏との共著の形で本連載を継続していきたい。オピニオンの大部分は工藤であり、データは渡辺氏という分業体制となる。
2月10日に中央社会保険医療協議会が答申した16年度の診療報酬改定案では、7対1入院基本料の「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の基準が25%になったことなどに注目が集まった。病院経営におけるインパクトとして、7対1の基準を満たすか満たさないかは極めて重大である。このハードルをクリアできるかどうか把握し、対策を十分に練るべきだろう。
答申では、短期滞在手術等基本料3(以下、短手3)の改定案も示された=表1=。改定の内容については、既に診療報酬調査専門組織の「入院医療等の調査・評価分科会」で議論されてきたものであり、サプライズはなかった。
表1 短期滞在手術等基本料3の改定案(青字:新規項目、赤字:16年度改定により診療報酬が現点数に比べて下がるもの)
厚生労働省 中医協資料(2016年2月10日)を基に作成
16年度改定では、「経皮的シャント拡張術・血栓除去術」や「体外衝撃波腎・尿管結石破砕術」、「ガンマナイフによる定位放射線治療」の3項目が新規に短手3の対象となる。個別の点数設定が十分かどうかはもちろん、これらの治療を多数実施している施設では、平均在院日数への影響も無視できないだろう。実際に7対1取得の透析専門病院において、経皮的シャント拡張術で在院日数を短くしていたところには、少なからず影響がある。
また、答申で示された改定の点数を見ると、ほとんどの治療において点数が下がっていることが分かる(表1において赤字で増減点数が記載されている項目)。これは、日数や診療行為に関係なく、1入院包括化されたことにより、出来高制度では入院日数・診療行為に応じ診療報酬が得られた病院や、DPC制度により診療行為は包括であっても、日数に応じ逓減制の診療報酬を得られた病院において、より効率的な医療が行われた結果である。
次回配信は3月2日5:00を予定しています
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