【千葉大学医学部附属病院病院長企画室長・病院長補佐・特任教授 井上貴裕】
2016年度診療報酬改定において、DPC/PDPSの医療機関群における実績要件3(高度な医療技術の実施に対する評価)に、内保連試案※で提案されていた25の特定内科診療対象疾患=文末に一覧表=が組み込まれることになりそうだ。実績要件3は現在、外科系の評価に偏っている傾向があるのも事実だ。
現行の実績要件3で特にハードルが高いのが「手術1件当たりの外保連手術指数」である。全身麻酔を伴う手術では高い評価となる一方、それ以外の内科的な低侵襲の手術では、低評価となる傾向が顕著である。このようなことから、高度な内科の評価が不十分であったという事実は否定できないであろう。
※内科系学会社会保険連合(内保連)がまとめた「特定内科診療」は、DPCII群の実績要件3(高度な医療技術)に追加する方向で検討が進んでいる。10月27日の診療報酬調査専門組織の「DPC評価分科会」で評価する内科系技術がほぼ固まった。
II群で評価する「内科系技術」ほぼ固まる-DPC分科会が了承
II群の実績要件3に「内保連試案」導入へ-DPC分科会が了承
私は、内保連試案が実績要件3に入ることはないと予想していた。Ⅱ群に名を連ねるがん専門病院で、かつ特定機能病院であるような有力病院については、評価が不利に働き、Ⅱ群降格という事態も生じ得るからだ。
特定機能病院が実績要件2(医師研修の実施)を免除されているように、医療政策の要になる病院が、そう簡単にⅡ群から外されるはずはないと考えたためだ。もちろん、医療機関群を4つに分け“専門病院群”をつくるという案も以前出されたが、今のところ医療機関群をさらに細分化はしない方向だ。
本稿では、内保連試案の特定内科診療対象疾患が加わることで、医療機関群の顔ぶれにどのような影響を及ぼすのかについて考えてみたい。
次回配信は12月14日5:00を予定しています
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