琵琶湖南岸からさらに南東側の山あいに位置した滋賀県甲賀市の公立甲賀病院(一般409床、感染症4床)は5年前、病院改革に取り組み始めた。それまで地域の中核病院でありながら、患者獲得に近隣の診療所とつばぜり合いを繰り広げていた状況から地域連携重視へと大きく経営のかじを切ったのは、清水和也院長だ。その努力が「やっと花開きだした」(同院長)現在、紹介率は5年前の約3倍の60%前後まで向上。10対1看護配置の維持が精いっぱいだった同病院が、今では7対1の取得を視野に入れている。【真田悠司】
甲賀病院は、甲賀市と湖南市から成る二次医療圏にある。2年前に新築移転したばかりだが、それ以前は最も古い病棟は築70年を超え、増築を重ねた病棟内は狭いうえ、汚れや痛みも目立った。手術室も例外ではなかったという。「住民の方から、急性期病院と思ってもらえる病院ではなかった」と、清水院長は当時を振り返る。
日医総研がまとめた二次医療圏データ集によれば、隣接する大津保健医療圏や草津市などの湖南保健医療圏に患者の一部が流れていた。「甲賀地域で救急を担っているのはうちだけ」。それにもかかわらず、住民からは急性期と見なされていない現実。清水院長は「そうではないことを、時間を掛けて見せていくしかない」、「超一流ではないけれど、よっぽどでないと他に行く必要はない」という思いを強めていた。
救急と在宅を強化、老健通じて看取り支える-地域密着型病院の患者獲得策(1)
在宅復帰率の影響で「施設がライバル」-地域密着型病院の患者獲得策(3)
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