【宗和メディカルオフィス代表 原田宗記】
医療事務スタッフの採用は人材紹介や派遣会社の増加、有効求人倍率の上昇などの影響で売り手市場のため、良い人材を採用するのが難しくなっている。また、長く勤務できる手ごろな資格として他業種からの転職組も多い。特に、一般企業からの転職組は権利意識も強く、労働条件などの確認や要望が細かい。中でも休暇や有給休暇の取得に関しては、より権利意識が強い傾向があり、時にトラブルにつながる。
そもそも、10人以下のスタッフで運営していることが多い診療所では、仕事がしやすいようにお互いに調整しながら休暇を取得しようと考えるのが基本だ。にもかかわらず、「就業規則がないのは労働基準法違反だ」とか「有休が希望通り取得できないのはおかしい」などとクレームを言ってくるスタッフもいる。
内科クリニックでアルバイトをしていた医師が、院長から承継の話を持ち掛けられた。自宅からの通勤時間が30分、駅から徒歩7-8分。ちょうど開業を考えていた時期で、承継に必要な金額も約500万円であったことからリスクが低いと考え、その話を受けた。
医療事務のスタッフは60歳で定年なので、引き継ぎをしてもらうため、折り込み広告で募集をかけ、医療事務経験が2年ある20代後半のGさん(転職組)を採用した。承継時の患者数は一日30人前後で、患者が増えるまでは受付は一人体制で、緊急時や休暇の時は院長自らまたは看護師で対応しようと考えていた。Gさんには患者数が増えたらパートを採用することで了解を得ていた。
そのクリニックは11月に承継した。承継後1年目の時、初めて迎える夏休みの日程を考えることになった。
次回の記事配信は、4月3日5:00を予定しています
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