【宗和メディカルオフィス代表 原田宗記】
賞与の支給の考え方は各診療所によって異なる。経営が安定した診療所では、支給される賞与は年間で基本給の2.5-3.5か月分程度が多い。企業であれば半期の業務実績に応じて決定されるが、診療所では周辺の診療所などの相場を参考にし、税理士に相談してこのくらいでと決めることが多く、裏付けはない。収益や所得が増えても賞与は年間2か月分のままの診療所もある。そうすると、「忙しいばかりで仕事の苦労も報われない」と退職者も増える。
一方、診療所の業績や個人の能力を反映させる診療所もある。業績連動はよいとしても、能力評価のバラツキ(公平さに欠ける)によって特に評価の低い人材を追い出す形になることもある。月給が高めであれば賞与は少なく、安めであれば賞与を高くするなど、どのように給与を支払えば働く意欲を高められるか考えなければならない。このごろでは採用時に賞与制と年棒制を選択させる場合もある。採用対策を考えた給与の工夫が必要になっている。
19床でスタートした開業15年目の整形外科。同じ診療圏内に病院が進出してきたため入院患者が減少。入院部門の赤字が続き、収益が40%ダウンし、病床閉鎖を決断した。入院診療に関連する職員には2か月前の解雇通知で対応。外来のみになったことによる人件費削減の影響は大きく、翌年は過去最高の収益となった。
次回の記事配信は、3月20日5:00を予定しています
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