厚生労働省保険局医療課の宮嵜雅則課長は、次期報酬改定に向けて主に3つの視点があると指摘。このうち1つが、14年度改定で実施された取り組みの影響を、答申書の附帯意見に基づいて検証し、より良くする視点だとした。
宮嵜医療課長インタビュー・上-次期診療報酬改定に「3つの視点」
答申書附帯意見は15項目にわたる。中医協の1つの小委員会と3つの専門部会、2つの診療報酬調査専門組織に割り振られ、それぞれで調査や検証、検討が進んでいる。
15項目の約半分を占める7項目 =表1、クリックで拡大= の検討の場は、中医協の「診療報酬改定結果検証部会」(検証部会)だ。同部会では、7項目の検討事項を12の調査項目に分類。14年度には、このうち6項目の調査を実施している =表2、クリックで拡大= 。
6項目の中でも、「同一建物同一日の訪問診療等の適正化による影響調査」は、前倒しのスケジュールで実施された。
この調査のポイントは、同じ建物に住む患者複数人を同じ日に訪問診療する「同一建物同一日」の場合の評価について、14年度改定で大幅に引き下げた影響を明らかにすること。在宅医療から撤退する医療機関が現れ、患者に必要な医療が行き届かなくなるといった懸念が現場から出ていた。
検証部会は昨年12月、この調査結果(速報)を総会に報告した。14年3月と7月の状況を比べたところ、医療機関一施設当たりの訪問患者数や訪問回数が増加しているといったもので、こうしたデータに基づいて総会は、14年度改定で同一建物同一日の場合の評価を引き下げた方向に問題はないといった結論を出した。
同調査ではさらに、在宅療養中の患者の要介護度や、訪問診療で提供される医療の内容などのデータも収集した。これについて宮嵜医療課長は、同一建物同一日の場合はそうでない場合と比べて要介護5の患者が少ない傾向があるなど、「若干違う可能性があるという結果が出た」と指摘。患者の重症度などを在宅医療の評価に反映させるかどうかが、次期改定に向けて検討するテーマの一つになるとの考えを示している。 宮嵜医療課長インタビュー・下-7対1見直しで重症度の項目変更も
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