【神奈川県立足柄上病院 副院長 玉井拙夫】
(1)はじめに
足柄上地域は神奈川県西部にある1市(南足柄市)足柄上郡5町(開成町、大井町、山北町、中井町、松田町)から成る人口約11万人の地域で、県内でも特に高齢化が進んでいる。松田町にある足柄上病院(296床)はこの地域における唯一の急性期病院であり、在宅療養後方支援病院である。
この地域には「かかりつけ医」として機能している在宅療養支援診療所が20機関あるが、足柄上医師会(会員95人)の8人の理事のうち2人が当院の医師ということもあり、医師会との連携も取りやすく、在宅療養を支援する上でも大きな力となっている。
高齢者が入院する契機となる疾患として悪性腫瘍、虚血性心疾患、骨折、脳血管疾患、肺炎などが挙げられるだろう。このほかにも低栄養や嚥下障害、脱水、運動機能障害に加え、うつや認知症などの症状を併せ持っていることが高齢者医療の特徴といえる。随伴症状により入院期間が長期化し、症状が増悪する場合も多い。こうした状況から国は団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて「地域医療包括システム」の構築を進めようとしている。
(3)足柄上病院の取り組み
①入退院支援センターの開設
当院では昨年4月に「入退院支援センター」を設置した。入院の際、入院中の治療計画とともに退院後の療養をどのように行っていくのか患者・家族に説明している。患者の現時点での状態と、入院治療を通じた到達目標を明らかにし、退院後は随伴症状をどのような形で引き続き治療していくのか患者・家族と話し合っている。また、自宅療養を希望し、可能と判断された患者には、かかりつけ医との引き継ぎのために、病院主治医による訪問診療を行っている。
次回配信は2月12日15:00の予定です。
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