痛みを訴えて一人で受診してきた10代の子に、診察や処置ができるか-。愛知県医師会の医療安全支援センター(苦情相談センター)がまとめた事例集からは、未成年への医療行為や余命の短い高齢者への治療方針、副作用や治療法の妥当性などをめぐって寄せられた苦情が目立った。丁寧な説明や謝罪で相談者が納得したケースもある。2010年と11年の事例から集めた同センターの「事例集2012」から、数例を紹介する。【大島迪子】
医師を中心にして、苦情相談を機能させる-愛知県医師会の苦情相談センター(上) ■未成年単独での来院「とにかく診察はしてほしい」 親が、「知らないうちに子どもが診察・処置を受けているのはおかしい」とセンターに問い合わせた例は3件紹介されている。1つは、10代の男子が肛門の痛みを訴えて受診し、その日に血栓を取り除く手術を受けたという例。「親に説明もなく、同意書を必要としないのは問題ではないか」と親は主張している。事例集の中で、診療領域ごとに苦情対応する専門委員(医師)は、「年齢的に親の同意書が必要だが、現実には大きな手術や検査でないと取らないことも多い。ただし、術後や検査後にトラブルが起こった時には、同意書の有無は問題になる」と指摘。その上で、「痛みの訴えで受診していて切る必要があるのに、『親を連れて再度来院しなさい』とは言えない」として、本人の希望や理解力、判断力を勘案して処置をすることはあり得るとしている。
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