【医療環境情報研究所 代表取締役 大谷勇作】
前回、2014年度の調剤報酬改定の主な項目をご紹介しましたが、今回はこれらの改定がどのような影響を及ぼすかについて、言葉の意味も含めて検討しました。
今回の調剤報酬改定では、「妥結率」という言葉が出てきましたが、厚生労働省の調査によると、200床以上の病院と20店舗以上を持つ薬局(チェーン薬局)において妥結率が非常に低く、特にチェーン薬局では、11年9月には62.8%だったのが、昨年9月には51.9%まで減少しています=表=。
表 薬局の妥結率
調査客体:日本医薬品卸売業連合会会員構成員企業の卸売業者
「価格妥結調査結果」厚生労働省医政局経済課(2011年および13年)
調査を通じて、納入価格を下げてもらうために意図的に妥結を遅らせたり、妥結をしなかったりする薬局が少なからず確認されたため、厚労省は妥結率だけでなく、妥結までの期間を設定したのでしょう。妥当なことだと思います。
しかし、報酬改定で示されたのは、妥結率が低ければ医薬品価格調査(薬価調査)の障害となったり、未妥結のまま医薬品が流通すると、「市場実勢価格加重平均値一定幅方式」の薬価算定において適切なデータが得られなかったりする恐れがあるという理由でした。何のための妥結なのか疑問の残るところです。
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