【株式会社スターコンサルティンググループ代表取締役 経営コンサルタント 糠谷和弘】
前回お伝えした、「誰のため」に「何を提供する」施設かを明確にする作業を、「コンセプトメーク」と言います。この工程をスキップしたために失敗するというパターンが最も多いのですが、失敗の理由は、ほかにもあります。弊社に寄せられる相談のうち、多く見られる3つのケースを見てみましょう。
【失敗ケース① 業界にはびこる“人気(ひとけ)”のない販促物】
外観がバーンと大きく掲載されている高齢者住宅のチラシやホームページをよく見かけます。実は、これがそもそもNGだと、私は考えています。
ここで質問です。
「高齢者住宅が、お客様に提供している“商品”とは何でしょうか?」
「住まい」-。もし、そう思っている方がいるとしたら、考え方を変える必要があるかもしれません。
高齢者の「持ち家比率」は86% と言われています。長年住み慣れた家が、既に高齢者にはあるということです。多くの方は、本音ではそこに住み続けたいと考えています。しかし、独居で不安だったり、身の回りのことが自分でできなくなったり、介護が必要になったりなど、やむにやまれぬ事情があるから、それを満たしてくれる場所を探しているのです。
ですから、分譲マンションを探す30代、40代と違って、 高齢者が探しているものは「住む場所」ではなく、施設での「行き届いた介護」、「安心」や「にぎやかな時間」、「笑顔のスタッフ」、「気の合う隣人」 です。“住まいそのもの”ではないのです。
(次回の記事配信は5月13日15:00を予定しています)
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