【茨城県立健康プラザ管理者 大田仁史】
リハビリテーション(リハ)は、急性期→回復期→維持期(生活期)→介護期→終末期、と各時期に合わせ、スムーズに実践されるべきであると考えられるが、現在は、いまだ維持期までにとどまっている。また、どこまでを維持期とするのかが明瞭ではなく、機能の改善が見込めない人へのリハが打ち切られる恐れがある。現に、看取りの段階になってケアマネジャーから訪問リハを断られるというケースがあると聞く。リハはラテン語の「ハビリス」(適している、ふさわしいという形容詞)を語源としてできた言葉で、人生の最期であっても「人間らしく生を終える、または身体として人間らしくある」という考えでかかわるべきだと考える。たとえ意識が不鮮明でも、「不動による苦痛の解除」や「著しい変形拘縮の予防」などにリハの手法は欠かせない。
■「終末期」という言葉は適切か
当初、終末期リハの対象者は、身体機能の改善が見込まれず、当事者が自らの手で身の保全をできない人と考えていたが、出生直後から重度の身体障害を負う子どもや、遷延性の意識障害のある青年などに対する時に、終末期というには忍びないと考え、介護期という時期を終末期の前に置いた。介護がなければ全く生きてはいけない人たちである。そのような人たちにもリハは必要である。やがてその人たちも生の終えんを迎えるが、そのような生命存続が危ぶまれる時期からを終末期と分けた。筆者は、身体機能が落ちてきて、ベッドでの寝返りが自分でできないようになった時からを終末期としているが、しかしなお、何をもって生命の存続が危ぶまれると考えるかは議論のあるところである。
次回の記事配信は、4月10日15:00を予定しています
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