【株式会社スターコンサルティンググループ代表取締役 経営コンサルタント 糠谷和弘】
前回、「高齢者住宅の立ち上げに“失敗”する事業者が増えている」とお伝えしました。成功のポイントを押さえるには、まず「陥りがちな落とし穴」をしっかりと理解していただく必要があります。
高齢者住宅に限らず、介護サービス全般に言えることですが、「うちは、どんな方でも受け入れますよ」と、対象者を絞らずに受け入れをしているところが多いように思います。
要介護度の軽い方から重い方までを対象とする。重い認知症に悩んでいる方から、日常的にリハビリテーションを必要としている方まで、どんな症状(悩み)にも対応し、入居を希望する方がいれば、よほどの理由がない限り、どんな方でも受け入れる-。こんな施設のことです。
これは、医療・福祉の理念からすれば、極めて正しいことですが、 「誰でもいいよ」というスタンスが、かえって経営を苦しめている こともあります。
想像してみてください。
幅広い要介護度、さまざまな症状の入居者が同居する施設で、イベントをやるとしたら、どんなことができるでしょうか。要介護度の軽い方はきっと、アクティブなものを希望するでしょう。しかし、それでは重い方が参加できません。スタッフとしては、どちらも裏切ることはできませんから、どちらにも受け入れられる、言い換えれば“中途半端”な企画をせざるを得ないでしょう。結果として、いずれの客層にとっても満足度の低いイベントにしかならないのです。
まだ施設が不足していたころであれば、どんな方でも受け入れるべきかもしれません。それでも入居者は我慢しますから、選んでもらえるでしょうし、施設運営に行き詰まることはなかったと思います。
(次回の記事配信は4月22日15:00を予定しています)
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