【社会医療法人恵仁会 理事長 黒澤一也】
当法人は保健・医療・福祉の複合体であり、特に福祉部門は介護事業を中心に拡充・成長してきた。最近では障がい者事業も、法人経営を支えている。
しかし、医療部門の経営は10年ほど前まで思わしくなく、さまざまな取り組みを進めても、なかなか改善しなかった。くろさわ病院では医師を確保し、患者数も徐々に増えていったものの、収支の改善には至らなかった。
そこで2002年ごろから「連携」をキーワードに、医療部門の経営改善に乗り出した。
まず、医療機関との連携を円滑に行うため、03年4月に連携部署を院内に立ち上げた。当初は看護師1人、社会福祉士1人でスタートし、紹介・逆紹介のほか、入退院や介護施設、介護サービスとの連携など、主に病院にかかわる調整を行った。06年4月には、法人全体の連携を担当する「地域連携室」に発展させ、医療だけでなく、介護事業所・ケア付き住宅の入居者の現在の状況についての情報収集や把握、法人内の連携会議などの運営を行っている。
医療機関との連携では、入院・外来患者の確保、手術件数の増加、高額医療機器のさらなる活用などがポイントになった。
急性期病院では、平均在日数の短縮や救急患者の増加により、後方ベッドの確保に苦慮しており、開業医も診療している患者の入院先を確保する必要があった。このことから、地域連携室を通じて連携を強化し、受入数を増加させた。
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