【株式会社オーエイチエム 医業経営コンサルタント 太田憲吾】
前回は、経営悪化という病に至ったA市立病院を「診察」「検査」し、強いセクショナリズムと連携不足、人員減による組織の疲弊(特に事務部門)など、そのボトルネックを整理(「診断」)したことをお伝えした。それでは、これに対して、どのような改革を行ったのか、いよいよ「治療」にかかりたいと思う。
A市立病院の「治療」は、収支改善と組織風土の改革を同時に行う必要があった。コメディカルを含め、熱い職員が多数いるにもかかわらず、セクショナリズムにより空回りしている、もったいない組織であることが明白だったからだ。逆に言えば、公務員としての原点回帰とコミュニケーションの活性化を実践できれば必ず立ち直ることができると、わたしは確信していた。
改革のターニングポイントとなったのは、経営形態の見直しなどが求められた公立病院改革プランに基づき、2009年7月、地方公営企業法全部適用病院となったことである。事業管理者を兼務することになった院長が人事や予算、組織構成などの権限を持ち、経営責任が明確化された。これが、以下に述べるような改革を実行する上で重要な追い風となったのである。
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