【株式会社オーエイチエム 医業経営コンサルタント 太田憲吾】
今回は、わたしの勤務していたB市立病院の事例を紹介する。
B市立病院は1951年からの5年間、地方公営企業法の一部適用病院であったが、56年には全部適用病院に移行した。市長部局からは完全委任状態にあり、病院事務局と本庁との人事異動は、3年に一度の庶務係長職の1名のみ。事務局長は院内でしっかりと育成され、事務職員は精神的にも実質的にも、市長部局に対して独立していた。
院長と事務局長の下、全職員が一丸となった良質な経営で、院内には「あうんの呼吸」が満ちあふれており、職種間の助け合いは当然のように行われていた。仕事は厳しく多忙であったが、アットホームな雰囲気で職員のモチベーションは高く、おのおのが力を発揮していた。 B市立病院
・経営責任は実質的に院長と事務局長に完全委任されていた。
・事務局に本庁志向はなく、ベクトルは院長の下で一つになっていた(院長を支える事務局があった)。
・ソフトボールなどのクラブ活動が盛んで、職種を超えた縦横のコミュニケーションツールが張りめぐらされていた。
・労働組合も建設的に協力していた。
これらの項目は、前回の 「多くの自治体病院事務局の実態」で列記した7つの問題点 とは正反対である。この状態には、自治体病院のあるべき姿が投影されている。
(次回の記事配信は2月18日15:00を予定しています)
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