【株式会社オーエイチエム 医業経営コンサルタント 太田憲吾】
ご承知のように、大都会はともかく、多くの地方では、自治体病院が地域の中核病院として住民の命と健康を支える柱となっている。しかし、この自治体病院は多くが慢性的な経営危機に陥っており、国、地方自治体の財政難も相まって、このままでは、経営破綻という最悪のシナリオをたどる病院も少なくないと予測される。
地方の自治体病院が元気であり続けるため、皆様に、自治体病院の問題点を知っていただき、おのおのの立場で支えていただきたい-。そんな思いで、わたしの医業経営コンサルタントとしての事例を報告することにした。
■A市立病院はなぜ経営改革できたのか
A市立病院
関西の都心から電車で1時間の人口12万人の田園都市に位置し、300床、18診療科を有する中核病院。
2007年度決算で総収入が70億円程度であるにもかかわらず、11億4700万円の赤字という危機的状況に陥っていたが、12年度決算では2億7900万円の黒字となり、5年間で14億2600万円という収支改善を果たした。職員充足度の経年比較調査においても、全般的に充足度が向上するなど、組織改善にも成功した。
なぜこのような改革ができたのか-。この連載では、A市立病院をケーススタディーとして見ていくが、その改革の本質を理解しやすいように、まずはわたしが行った公私40病院の実地訪問調査と、以前勤務していたB市立病院での体験から、一般的な自治体病院の問題点について解説する。
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